Happy Day,Happy Time!

Happy Day, Happy Time!、略称hdht!。20年前にやっていた音楽Home Pageのブログ版。主に参加させてもらったDJの記録です。

スピーカーを作る(製作編)

CD棚の整理は遅々として進まず、インターミッション。モノを作るblogではないのですが、記録のために。前から気にはなっていた雑誌Stereoのムック本「これならできる 特選スピーカーユニット」を使ってスピーカーを作ります。と言っても木工工作趣味の延長で箱を作っただけです。新たな工具も導入して、モノを作るのは楽しいです。まずは製作編です。

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昔話

(おっさんの昔語りなので、飛ばしていただいてOKです)その昔、中学生〜高校生の頃にオーディオが趣味でした。高い機器は買えないので雑誌を眺めているだけでしたが...。でもスピーカーは中学生でも自作することができて、秋葉原に行ってスピーカーユニットを買い、DIYショップで、今考えると超複雑な板取を作業場のおっちゃんに依頼していました。設計図通りに作るだけではありましたが、最初の音が出たときの感動は、それが好みの音・そうでない音関係なしに感動したもんです。

この趣味の終焉は、その後、写真にハマるという以外にもう一つ、今回作成するスピーカーの設計者でありオーディオ評論家の故長岡鉄男さん宅(通称:方舟)で映画とか音楽を見た体験が大きいです。高校二年生の夏のことでした。当時、週間FM(現在廃刊)を愛読してて年に数回、ご自宅に読者を招いて方舟のVA (Visual & Audio)を体験させてくれるという会があり、それに当選したのでした。

インディージョーンズや何やら映画を爆音で見たり、録音の良いクラッシック、さらにはガラスの割れる音とかを聴いて「これは家ごと作らないとダメなやつだ」と悟り、熱もだんだん冷めていったという。(苦笑)それでも、今もオーディオ機器は好きで音楽を聴くという趣味がずっと続いているのは当時の体験もあったと思います。

ja.wikipedia.org

特選スピーカーユニット2020年版

前置きが長くなりました。現在、夜に小音量で音楽を聴くことが多いため普段使いのスピーカーはアンプ内蔵のTASCAMのVL-S3。良いスピーカーなのですが、モニタースピーカーのためちょっと長時間聴きっぱなしだと疲れる。もう少し、カチッとしていないゆるーく柔らかい音が出るスピーカーを探していました。大きさ的には、同じくらいで。

そうして見つけたのが、スピーカー自体ではなく、スピーカーユニット。毎年夏くらいに出版される雑誌Stereo編のムック本で、2020年版はMark Audioの6cmフルレンジ。買うのは今回が初めてです。2本で6,000円。このスピーカーユニットを見て最初に思い出したのが長岡鉄男さん設計の「BS-8」でした。BS-8は昔作ったことがあって、Fostexの8cmフルレンジ用に設計されたものですが6cmの今回のスピーカーでもいけるのでは?大きさも思い描いているくらい。

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カセットテープ、CD棚を作ることで木工工作熱も上がっていたため、何十年ぶりかにスピーカー(の箱)を自作することにしました。ちなみに、姉妹本で「これならできるスピーカー工作2020」として箱(エンクロージャ)キットも出版されているので、木を切ったり穴を開けたりが面倒な場合はこちらをお勧めします。

スピーカー作成の工程

スピーカー作成の流れを簡単にまとめます。一言で言って、木で箱を作るだけです。今回のスピーカーは非常に小さいので作成も楽々。暇を見つけつつ1ヶ月くらいかけてゆっくり作成しました。

  1. 設計図を作成する
  2. 木を切り、穴を開ける
  3. 箱を組み立てて、中に吸音材を入れる
  4. トリマーで面取り&やすりがけ
  5. WATCOオイルを塗る
  6. スピーカーユニットと、スピーカー端子を付ける

1. 設計図を作成する

今回作るのは長岡鉄男さん設計の「BS-8」を一部アレンジしたもの。設計図はすでにあります。が、手持ちでは図面がない。インターネットにも本に掲載された図面そのものの掲載はさすがにない。著作本は多数あれど、どの本に載っているのかもわからない。そんな時の強い味方は、地域の図書館。インターネットも便利だけど、久しぶりにいく図書館も素敵な場所です。今は所蔵図書のネット検索ができてどの館にあるかわかるのも便利。近所の図書館に図面集があることがわかり、そこで本を借りました。

元々の設計は14mm合板前提のため、これを15mmシナ合板にアレンジしました(内寸は合わせる)。また、スピーカーユニットの特性から共振周波数を少し下げた方が良さげだったので、ダクトを設計値より少し長めにして80Hzくらいになるように調整。ここはよくわからないけど、まぁ、出たとこ勝負です。(正直、余った板もあったし適当)高さ176mm、幅130mm、奥行145mmの小型スピーカーを作成していきます。

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2. 木を切り、穴を開ける

設計図ができたら木を切ってもらいます。近くのDIYの店で木材を購入して切ってもらおうと思ったら、15mm厚のシナ合板が売ってない!12mmまでしかない。需要がないのだろうか?昔は21mmくらいまでは様々なサイズあったんだけど。

12mmでもいいかなと思いながらも、新宿ユニオンに行くついでに立ち寄った東急ハンズにちょうどいい300mm×910mm×15mmのシナ合板が!。ぴったり左右2本分板取り可能。その日は買うつもりはなかったけど、その場で紙に設計図を書いて切り出してもらうことに。板代、直線カット、φ65mmの穴込みで2,500円ちょっとくらい。対応も仕事も丁寧。さすが東急ハンズ。正確な箱を作るために自信と工具がある以外は切ってもらった方が良いです。

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今回はこれで終わりではなく、ここから組み立てる前に2つ加工する必要あり。今回のMark Audioの6cmユニットは端子部分のために切り欠きを空ける必要がある。これが面倒で、ジグソー買うか迷いましたが精度はいらないので糸鋸+ドリルでなんとか。右下が加工した切り欠きです。2つ目は、スピーカー端子をつけるためにφ12mmの穴を後ろにあけます。ドリルの12mmの刃なんて持ってないので、Amazonで購入。気持ちいくらいスッキリ穴があきました。穴あけるだけで満足感が上がる、木工工作は良い趣味です。

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3. 箱を組み立てて、中に吸音材を入れる

次に箱を組み立てます。構造は以下のように、下から後ろに回るにダクトがあります。構造も簡単なので、さくっとできますが、気を付けたいのはキッチリとした箱にすること。基準面は前面と上面。これを極力ずれないように固定しつつ作ると良いのですが、誤差なく作るのは小さくともやはり難しい。さし金で止めつつ木工用ボンドで固定していきます。

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中に入れる吸音材は説明文に「薄手のフェルトなどを」と書かれていたのでフェルトを片方の側面以外に貼ります。白を選んでしまったが故に、これがサロンパスにしか見えない。(苦笑)ちなみに、長岡鉄男さんの図面集は昔の料理本みたいで、図面と簡単な説明文があるのみ。図面を見つつ、その説明文を順番に読むのも楽しかったりします。

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4. トリマーで面取り&やすりがけ

今回、前から気になっていた「トリマー」という工具を思い切って購入。刃が高速で回転して削ることができます。カセットテープ棚を作っていた時、これがあると溝が掘れたり、あられ組ができたりいいなぁと思っていた夢の工具。まずは練習として、「ボーズ面」というビット(刃)を付けて角を丸く面取りしてみます。

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これが気持ちいいくらいにRが取れる!すごいぞ、トリマー!調子に乗って、全面のRを取りました。軽く角に当てて滑らせるだけ。力もいらない。遅いと焦げるので注意。ただ、木屑がすごいことになるので、外でやることをお勧めします。

トリマーで面取りが終わったら、紙ヤスリ120番→240番でやすりがけ。木屑が入らないように、穴をあけたスピーカーユニット取り付けの穴と後ろのスピーカー端子の穴は塞いでいます。

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5. WATCOオイル

CD棚を作る時に使ったWATCOオイルを4回重ね塗り。4回と言っても半乾きで塗り重ねてやすりがけできるので、乾くのを待たずにできて時短で美しい仕上がり(本当のやり方かは分かりませんが)。ニスと違って表面に膜ができるわけではないので強度は増しませんが、失敗のなさとしっとり感、前回使ってからかなり好みです。残りものを使っているので、色はナチュラル。出来上がると少し黄色味がかかって良い感じになります。塗る面積が狭いので、飽きるまでもなく終了。塗ったら24時間待ちます。

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6. スピーカーユニットと、スピーカー端子を付ける

最後に、スピーカーユニットとスピーカー端子をくっつけて完成。フルレンジ一発のため、特にネットワークなどもないです。ただ、下穴をあけるときに左右対称にするように位置決めするのが若干難しく面倒。若干ズレました…。

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完成!

これで完成。かかったコストはユニット、板、スピーカー端子など諸々合わせて1万円くらい。緊張の音出し。最近買った音源などを何枚か試聴していきます。長くなったので、それは次回に。(つづく)

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