前回は「これならできる特選スピーカーユニット (OM-MF4)」を使って長岡鉄男さん設計のBS-8を作成しました。無事、完成し音も出ました。今回はこのスピーカーで色々と試聴していきます。結論から書きますと、迫力と低音はないけどスッキリ落ち着いた味わいでした。
前回の復習
木工工作熱からムック本に付属したスピーカーユニットを使ってスピーカーを作りました。自作スピーカーの良いところは作った後、音を楽しむことができるところ。エージング必要説、不要説ありますがこれを機会に新旧音源を聴いていきます。製作編は以下をご参照のこと。
BS-8+OM-MF4 試聴!
できるだけいろいろなジャンルを聴いてみる。アンプはN-Mode X-PW1-SE。音源はCDとアナログ両方を混ぜて。他のスピーカーと交互に聴き比べているわけではないので、完全に私の主観と趣味です。 他の人が同じスピーカーで同じ音源を聴いても、聴こえ方は違う可能性が高いのはご了承くださいませ。全て大好きな音源で内容が良い悪いではなく、このスピーカーに合うか合わないか?がポイントになります。
Change This World / Instant Cytron
先日、vo.の片岡知子さんが他界されたニュースは本当に衝撃的でした。1995年にリリースされた傑作アルバム。ウィスパーヴォイスと弾け煌く音たち。このスピーカーで聴いても、その良さは損なわない。音をまさに表すような素敵なジャケ絵は森本美由紀さん。心よりご冥福をお祈りいたします。
Point / Cornelius
Corneliusの4thアルバム。録音も良いし色んな音が入っているこの盤も試聴。自然な音の広がりが感じられるところは良いけど、もっとカチッとしてなかったっけ?と最初の方で思ったけど、音離れもよく自然とフレーズが浮き上がる感じ、これはこれでとても良い!B面、"I Hate Hate"〜"Brazil"の流れはやっぱりいいなーと、普通に聴き入ってしまいました(ワオーン)。
A Golden Wheel / Predawn
Predawnの2ndアルバム。シンプルで美しいアコギに天使の歌声!これはかなり合う!アナログだからか、特に2曲目の"Keep Silence"のサ行が割れるのが気になった(CD聴いたら違ったのでアナログのせいみたい)。ギターも声も伸びやか〜。他のアルバムも順番に聴き直そう。SSW関係は相性良いです。
Obscurity Knocks / The Trash Can Sinatras
この曲のイントロをどう鳴らすか?は、一つのベンチマークのような気がする。結果、派手さはないながらも瑞々しいギターのイントロからの躍動感、最高!CDs盤だと続けて"Who's He?"までお手軽に聴けて良いです。最近のツイートをみてからこのジャケが虫にしか見えないので困ってます。
Summer Lane 1993-1997 / The Proctors
落ち着いたネオアコに合うのかも?と聴いたのは最近Sunday RecordsからリリースされたThe Proctorsのアルバム。25年の時を経てリリース。(涙)この音、このスピーカーに合う!ベースとドラムは控えめながら、黄昏時のキラキラ感!"Everlasting Light"のような華やかさはないけどこれはこれで大好物。
A Word Becomes A Sound / Kate Bollinger
素晴らしい!2020年期待のSSW、Kate Bollingerの2nd EP。1stはどこで買えるんだ!?というくらいに素晴らしいベッドルームポップ。まさにこんな曲を夜に小さい音で聴いてからぐっすり寝たい。このスピーカーで聴いても十分に柔らかく優しい気持ちになれる。もともと大音量で聴くような音源でもないので相性は抜群。
moveys / Slow Pulp
これも最近買ったSlow Pulpは家でよく聴いている一枚。スローなシューゲイザー?アコギのカッティングから入るA1からゆったりと浮遊感あふれる楽曲が続きます。儚げなvo.も良い。新人バンドでこれが1枚目とは思えない。B面最後の余韻を考えても今後が楽しみなバンド。この盤もなかなか臨場感と雰囲気がでてて相性良い。
You Made Me Realise / My Bloody Valentine
マイブラはダメだ。軽すぎる、、、。 (涙)大迫力で聴こうとは思わないけど、別物として聴こえる。
(Same) / Chinese Football
American Footballへの中国からの回答。小気味よいリズムにカッコいいギターリフ、ジャケとバンド名とは裏腹に、す、すごいバンド見つけた!と思った当時。大音量で聴きたいところですが、小口径のこのスピーカーで聴くフットワークの軽い小気味良さも魅力的。メンバーは中国の武漢出身。COVID-19の影響が心配です。また素敵な音楽を届けて欲しいです。
君の街 / ビクター mk II
Lo-Fi HipHopからビクター mk IIの新譜。今回アナログで買ってみたけど、アナログの方がB面まんまボーナストラック?カセットテープのフォーマットもいいけどこれからはアナログで聴こう。ゆるーく心地よりリズム、今回も最高の内容。集中して聴いたからかもですが、音のよれ具合がキッチリ出過ぎてるかな。Lo-Fi HipHopは構えずに楽しむのが良さそう。
チャム / マクロス 82-89
フューチャー・ファンクも聴いてみる。香港のネオシティレコードズ(レコーズ?)からリリースされているマクロス 82-89のアルバム。低音が足りないけど、これはこれで気持ちいい!フルレンジ一発の良さが出てる気がする。音の定位も抜群。ヴォーカルモノのバランスも良い。
J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ / VIKTORIA MULLOVA
続いてクラッシックも聴いてみる。おそらくオーケストラよりはシンプルな方がいいんだろうなと、先に超絶技巧のバッハ無伴奏ヴァイオリン。音の定位も広がりも良い。もうちょっと低いところから高いところまで伸びやかだともっといいのかなとも思いますが、欲張りすぎか。それにしてもヴァイオリン1本とは思えない多彩で美しい旋律。
ベートーヴェン交響曲第7番 / 小澤征爾 サイトウ・キネン・オーケストラ
一応、オーケストラも聴いてみる。サイトウ・キネン・オーケストラのライブ録音?故齋藤秀雄教授の教え子たちが年に1回集うスペシャルなオーケストラ。やはり、このスピーカーだとちょっと無理でした。でも、久しぶりに聴いたけどやはり素晴らしい演奏。このスピーカーでBGMとして聴くには十分ではありますが、それだともったいないくらいの演奏クオリティー。
Ultimate free soul Motown / V.A.
変わってMotownのコンピ。年代毎にリリースされていたのを集めたモノ。Soulは全く詳しくないジャンルですがこの3枚組は車でよく聴いてます。Motownの美味しいところが詰まったコンピ。低音が足りないのとグルーヴ感は20%減。ゴージャス感も控え目、その分伸びやかで躍動感のあるvo.が目立ってこれはこれで、良い!という結論に。
Brasil '65 / The Sergio Mendes Trio
ボサノヴァはどうか?軽快で明るい曲調、物悲しく泣けるギター、ジャンル的に期待が持てます。試聴したのはWanda De Sahをvo.、ギターにRosinha De Valencaという二大スターを要する"Brasil '65"。セルメンシリーズの中では1番好きな盤かも。予想通り、このスピーカーに合う!
Begin / The Millennium
最後はソフトロックの名盤、"Begin"。日本的な要素も含んだ多彩な音にカート・ベッチャーによるコーラスワークの美しさが堪能できます。A1の"Prelude"からA2への流れを聞いただけでウキウキする。なぜこれが当時全く売れなかったのだろうか?vo.が前に出てくる感じは録音によるものかも。ソフトロックとも相性は良さそう。
まとめ
試聴した結果をまとめると、以下の通り。迫力と低音はないけど、スッキリ落ち着いた音を聴けるので小音量で夜にちょっと聴くには十分。低音はもう少しあったらよかったけど、6cmフルレンジにこのエンクロージャの大きさ、多くを求めてはダメなことは分かってます。10cmくらいのフルレンジスピーカーユニットを使ってバックロードホーンのスピーカー作りたい欲が...(危険)。その前に、今回購入したトリマーを使いこなしたい。
- 自然な音場感。派手さはないが、小編成だったり打ち込みの音には合う。SSW、ボサノヴァとか相性良い。
- 低音を効かせている曲には合わない。軽く聴こえる。
- 大編成のオーケストラはこじんまりと聴こえるが、BGMとしてはいいのかも。
目的と手段が逆転してスピーカーを作る話に途中からなっていますが、当初の目的、TASCAM VL-S3の代わりとしては十分な性能で満足。これから平日の夜はこのスピーカーで色々と聴いていきたいと思います。